どつぼ状態からいかに抜け切れられるか? / '20.03.02

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1週間の丹後滞在を終え、京都に戻ってきました。寒さが弱まり、いつもの緩んだ京都の空気感。丹後よりも乾燥していてむかしは違和感がありましたが、今はこちらの生活が長くなり、これがふつうになりました。人の好み感心はどんどん変わっていくものですね。

実家の音楽室で録音した音源で成功したトラック数を数えると、33もありました。4日間の録音期間だったので、一日に直すと、8.25曲になります。釣果はまずまず。マイクの設置もスムーズにいけたし、何しろピアノの調律がこの17年間で最もよい状態にしてくれました。

ピアノは経年変化でハンマが堅くなりますが、今回はできるだけ初期の状態に戻してくれました。空気を含んだソフトな響きは、ぼく好みかな。ポップスのバッキングには物足りないけれど、ぼくのようなアンビエンスな曲だと、ちょうどよい塩梅なのです。

33曲をどのような曲順でセレクトするかは、運とカン任せ。とはいえ、確実に言えることがあります。それは、録音時の摂理をそのまま生かすこと。つまり、録音順に曲を並べると、それなりのストーリーができます。もっぱら、いつにどの曲を弾くか、あるいは弾いた曲が成功するかは、天の運任せ。だから、こちらの作為を投げかけても成果は出ません。

そんな思考で曲を聞いていたら、奇跡的に2アルバム(13曲×2)がよい流れでセレクトできました。曲の緩急、調性、強弱、などの要素がほどよい塩梅で散りばめられています。これを作為的にしようと思ったらまず無理でしょう。何事も考えすぎる態度はよくありません。生ピアノ録音でいつも思うことですが、一旦些細なことにこだわってしまうと、どつぼにはまってしまいます。

トラップからいかに抜けきれるかどうか。それは、こだわりをなくすことでしょう。でも、こだわりをなくすことにこだわってしまえば、それこそどつぼにはまってしまう。バランスの存在を肌身で感じるピアノ録音期間となりました。