専門性について / '19.03.10

大学で教鞭をとっていると、専門について訊かれることが多い。でも自分にとって、専門を限定することは、なかなか難しい。これまでの出身大学の学部でも、ことごとく多様性に富んでいるからだ。

学部だけでも、農業土木→緑地学(造園)→農業経済学→音楽学→環境心理学、と5つも変わってきているし、大学に赴任してからも、学問領域専門というよりは、作曲やピアノ演奏といった表現活動にシフトしてきている。

それぞれの専門を学ぶときに、その筋のエキスパートを何人も見てきた。そのレベルと言ったら、僕の数十倍か数百倍の能力を有する人ばかり。とうてい太刀打ちできるものではない。

自分の進路展開としては、狭く深く、というよりも、広く浅くのタイプだろう。自分の能力の程度はたかが知れているし、それよりも一つのことを長期に渡って深めることは、自分に適しているとは言いがたい(唯一続けられているのが、ピアノ演奏なのだけれど)。

なので、自分にとっての専門性は、広く浅く、の分野を、複数もつタイプではないかと思う。内容は深くないのだけれど、浅めの専門分野をいくつかもつことによって、部分集合の面積は増え、結果的にそれが「希少価値」に繋がることを、自分に依頼が来る傾向を類推するに、たぶんそうなのだと思っている。

深く狭く、か、広く浅くかの優劣はないと思うのだけれど、自分にとって適切な専門性の広げ方を意識することこそが、知的生産を行う上での重要な戦略ではないかと思う。