宝の持ち腐れという言葉があるけれど、私の話で言うと、これまで各所で録音してきた音源データが厖大な量になっていて、なかば死蔵してきた。録音しているときは、具体的な目的を持って記録しているとは限らない。
昨年リリースした『耳トレ！』本に話は移る。この切り口の発端は、ヤマハミュージックメディアの編集者が「マジカルアイ（立体視する眼力を養うメソッド）」のような音の本はできないだろうか？という提案からだった。
環境音を録音するときは、音そのものを保存するために、写真を撮影するような感覚で行っていた。時間を経てそれらを聞いてみると、純粋に面白い音や、耳の奥をくすぐるような吸引力を持つ音など、現場では決して感じられなかった音の感覚が、録音された音「に」こそ、宿っていることが分かった。
そんな音をつらつら聞き直しながら、耳トレ！のような本はできないものかと考えていたとき、耳を鍛えるための音として、そうした環境音が使えるのではないかと思い立ったのである。それから瞬時に、トレーニングの内容が浮かび、あっという間に耳トレメソッドが生まれた、というわけである。
昨年の『耳トレ！』本は思いのほか好評で、これまでの専門書では予想しえない冊数が世に行きわたり、総計4刷にもなった。それでこの進化発展版（普及版）として、このたび『毎日耳トレ！』本が11月に発売する運びとなった。こちらも音源を聞きながら耳を鍛え、最終的には脳を鍛え、活性化させることが目的となっている。
本日からアマゾンでも情報公開された。耳トレ！を試した方はもちろん、耳トレ！のことをまだ知らない方に行きわたってほしいと願っている。書店も11月末頃には並ぶ予定。どうぞご期待下さい！