石庭のカラクリを音楽に生かす。 / '14.03.23

20140323春の日差しに誘われて、京都最古の禅寺「建仁寺」にフィールドワークしてきました。そこで目を惹いたのは、本坊中庭にある「潮音庭(ちょうおんてい)」。禅の庭らしく、中央には三尊石、周囲には伏石が配置されていて、石のまわりには楓の木が配されています。

この庭の最大の魅力は、どこから見ても隙のない石組みであること。建物の四方に囲まれているので、どの場所からもこの庭は「正面」として鑑賞することができます。ほとんどの石庭が一方面から見られるように石組みが配されています。

それに対してこの庭は、どこから見ても強力な緊張感と力強さが、石組みから伝わってきます。この庭の作庭家の手腕は並大抵ではありません。

どこから見ても耐えうる表現のあり方とは何か。これは、ぼくが理想とする音楽の作り方にとても共通しています。どこできいても、どこからきこえてきても、冗長にならない音楽のカラクリ。この石組みから、多くのことを学ぶことができました。