美しい人は美しく / '13.12.06

昔、富士フィルム(現:フジカラー)のCMで、
樹木希林さんと岸本加世子さんの出ていたのを思い出した。
そのときに樹木さんが言ってたのが、
「美しい人は美しく、そうでない人はそれなりに」という台詞。

なかなかクセのある意味合いの台詞だけど、
環境音楽もこのことが当てはまるな、と思った。
よい場所をよりよく感じさせる音楽をつくることは、
意外にも簡単だ。
逆に、よくない場所をそれなりに感じさせる音楽をつくるのは、
(昨日書いたように)至難の業だ。
これは、BGMを創ったことのある人なら、きっと分かるはず。

ましてや、不特定多数の人がいる公共空間では、
そこにいる人が嫌がらない音楽をつくること自体、無理がある。
「そうでない場所をそれなりに感じさせる」音楽でさえ、
つくることは難しい。

まずは、大がかりな場所を目標とせずに、
ごくごく限られた空間を想定してみるとよいかも知れない。
学生から興味深い話を聞いた。
「放送局のエレベーターを使っていたとき、
スピーカーから生放送の番組が流れてきた。
それを聴いて、意外にも新鮮でホッとした」と。

ああ、ここにすごいヒントがある。

閉じられた空間のエレベータは、
乗るだけで閉塞感や不快感を伴う。
そこに、ほんのちょっとだけでも、
外界からの空気感(まるで換気扇みたいな機能)が加われば、
場の空気は変わるような気がする。

同じタイミングで聴かれる別の場所からの何かがあれば、
きっと、閉塞感や不快感を和らげることになるだろう。

そこから先は…。

具体的なことを、いろいろ考えてみると面白い。