耳を拓くことの効用 / '19.01.30

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毎日不思議なことなのだれど、
音の聞こえが、日によって違っている。
微妙と言えば微妙なのだけれど、
音の響き方だとか、自分の声の音色だとか、
注意して聞いてみると、同じという日はない。

外に出ると、その感覚はより際立ってくる。
いつもと同じ車の音、音サイン、アナウンスの声…。
やはり、今日という日だけに聞こえる、
特別な音のような気がする。

そんなこと考えていると、
日常生活が出来なくなる気がするのだけれど、
感じてしまうのだから、仕方がない。
そればかり考えていると疲れてくるのか、
脳が勝手に、鈍いモードに変わっていく。

つまり、新鮮に聞こえる音の感覚は、
次第に、日常の波に飲まれてしまって、
ただの音に変わってしまっているのである。

「認知資源」という言葉があるそうだ。
脳が何かを感じたり、判断したり、記憶したりする
エネルギーには、限りがあるという意味。

朝起きたときがマックスで、
それから寝るまでの間、認知資源は減るだけだ。
どおりで、朝起きた瞬間、
脳がサクサク動くように感じるのも、
認知資源がたっぷりあるからなのだろう。

認知資源が減ってきて、
意識がもうろうとするときは、
できるだけ、音の聞こえに注意してみる。
すると、生きていることが、ほんの少しでも、
新鮮な色合いで蘇ってくるから面白い。

生きてる手応えが感じられるから、
じぶんは音を聞くことが好きなのかな、と思う。