針に糸を通すような作業。 / '14.02.22

20140222新アルバムCDのマスタリング作業、続行中です。試行錯誤を続けていると、マスタリングの極意が分かってきました。それは、シンプル・イズ・ベストという選択です。

最近のコンピュータには、多くのプラグインと呼ばれる音響処理ソフトが搭載されています。コンプレッサー(音圧を揃えるプラグイン)や、リミッター(音の信号を制限するプラグイン)をはじめ、過剰に音圧を加えたり、音の化粧を濃くするような機能が増加しつつあります。

それらをむやみやたらに使うのではなく、ぼくは、イコライザー(EQ)で、原音の響きを補正し、その音源に最小限の処理を加える、という選択を取りました。原音の音を録音物で再現することはできないけれども、録音現場で確かに響いていた周波数をうまく補うことができれば、音源に奥行きと幅と音量を不思議なほどに増します。とはいえ、その調整は針に糸を通すほど繊細で微妙な行程です。

他のアーティストのCD音源に比べれば、ぼくの作品は地味で派手さはありません。けれども、大切にしたい「音の響き」をリスナーに届けるべく、ここのところ試行錯誤した甲斐はありました。アルバム共通のフォーマットが整ったので、あとはラストスパート。こうご期待!