音楽を研究するのは難しい。 / '13.11.30

何かを実践することと、研究することは、
似ているようで違っていることを痛感している。

というのも、音楽をすることと、
音楽を研究対象にして理論をつくることは、
言うまでもなく、相反するような行為である。

音楽をつくっているときは、無我夢中で創作に没頭する。
できあがった音楽に、蘊蓄をつけたり客観的解釈を行うのは、
たとえ自分で創作した音楽を自分が分析するにせよ、
まったく別次元の活動である気がしてならない。

たとえば、ぼくがつくる環境音楽や映画音楽でも、
直感的に「この音を使いたい」とか、
「このテンポで演奏したい」と思って、
実際の空間や映像にはめてみるとして、
「とても調和する」状態になったとする。

けれどもこのマッチング現象をいくら実験しても分析しても、
それは所詮「後付け」の解釈や操作でしかあり得ない。
ましてや相手を説得させるような
科学的な衣装をまとった「数値」をはじき出した途端、
それはときに情報操作やトンデモ科学になるかも知れない。

言いたいことは、研究する行為を
「中立的な立場」で行うことはありえない。
さらに研究の手続きを厳密に行うことに、
多大なエネルギーや神経を使わなければならない。

音楽を研究対象にするのは、
ほんとうに難しいことなので、
「音楽」を純粋な創作対象として関わっていきたいです。