音環境デザイン業者が増加している件 / '19.01.16

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最近、音環境デザインや音空間デザインの業者やアーティストの人たちが軒並み増えている印象がある。空間デザインで音の重要性が認識されつつあるのは、とてもよろこばしいことだ。

どれも、最初の調査を大切にし、空間に見合った音源を制作し、空間全体を1つの生態系のように見なして、音響機器を入れていく、といった手法。

ただ、ちょっと気になったのは、すべての目的が「音を付加すること」に留まっている。何かの「機材」をその場所に入れないと、音環境/空間デザインが成立しない、という着地点ばかりで、少し気がかりだ。

折しも世間は、2020年の東京オリンピックに向けて、新しい公共空間や商業空間の建設ラッシュが続いている。そんなときに、質の高いパブリック空間を目指した音計画があるのは、悪いことではない。

ただ、そこには「人」の存在が見えてこないのだ。音を流しさえすれば、それで事が済む、というスタンスは、一面的で非常に危険である。

大切なのは、現場に何度も足を運び、クライアントと膝を突き合わせ、ソトモノであるデザイナーが、場所の良さを発見することではないかと、私は感じる。つまりは、音のフィールドワークが肝なのだ。

場所のオリジナリティや利点をクライアントに伝えるだけでも、素晴らしい効果があるのではないだろうか。とはいえ、そこでは経済が発生しづらい。だから、デザイナーは音を付加したがろうのだろう(笑)。これが、音環境や空間デザインの矛盾点。