サウンドスケープ・デザインとはなにか?


サウンドスケープ・デザイン(soundscape design)の実現は、
サウンドスケープ活動の最終到達点であると、
シェーファーは言及しているが、 理想的な概念なので、
サウンドスケープ・デザインは(シェーファーを含めて)
十分には実践されていない。

正直なところ、サウンドスケープ・デザインの概念は、
見識者同士でも意味のとらえ方に相当な乖離がある。

「サウンドスケープ・デザイン」は、音環境を構成する、
あらゆる音(あるいは音源の周辺)に気配りし、
音の背景や音をきく人びとの心理領域をも対象とする、
壮大な音計画の試みである。

「音環境全体の総合的・本質的なバランスの回復を図る」という
シェーファーの考え方は、従来のサウンド・デザインと一線を画する。
彼の主著「世界の調律」のタイトルどおり、
個別のサウンド・デザインを凌駕した「世界の音」を
調律しようとする理想論は、芸術家にありがちな、
神懸かり的な発想といえなくもない。

音の嗜好は、個人的であるがゆえの難しさが立ちはだかる。
そこから先に進むには、
地域社会を形成する家庭・共同体・自治体の中での
連携体制基盤(自助・共助・公助)を整え、
個人の音意識を深化させ、共有しあうことだ。
地域に住まう人びとともに「音響生態学」を模索することが、
サウンドスケープ・デザインの実現に不可欠であることを、強調したい。

シェーファーは、サウンドスケープをひとつの巨大な音楽作品と見立て、
快適な音環境創造を実践するために、
サウンドスケープ・デザインを提唱している。
だが、騒音を含めた現代社会の音環境を
「美的」にきこうとする行為自体に、無理がある。

まず、先決すべきは、サウンドスケープの
研究領域と実践領域のあいだの「大きな隔絶」を
埋めることではないか。

音(あるいは周辺領域)の研究領域が
「研究のための研究」に成り下がり、
実践領域が「対象の実体を正確につかんでいない、方向性がデタラメな実践」、
つまり、環境の総合バランスを考えない
「サウンド・デザイン」のレベルで足踏みしているのが、
音計画の現状だ。

そこで大切になるのが、サウンドスケープ研究(音響生態学)と
実践の「橋渡し」となる「技法」や「ストラテジー(戦略)」である。

(つづきは、2007年秋に出版される「サウンドスケープの技法」で説明予定!)