京都国際マンガミュージアム

京都国際マンガミュージアム(2007年9月16日現在)


< 「音環境デザイン」を施した京都マンガミュージアム >

このたび、京都国際マンガミュージアムの開設に際しまして、
私が音環境デザインのプロジェクトにかかわらせていただきました。
その詳細を、かいつまんでお伝えします。

人は、空間からの感覚を、目だけでなく耳からも捉えます(視聴覚の相互作用)。
京都国際マンガミュージアムでは、質の高い空間提供のために、
「音環境デザイン」を施しました。

館内に落ち着きを与え、書物や資料をゆったり閲覧する雰囲気を高め、
元龍池小学校の歴史性を感じさせる音環境デザインを行いました。
配慮したのは、次の4点です。

(1)「静けさの確保」にこだわりました。

不必要な音を削減し、落ちつきある音空間づくりに努めました。
新たに設置した空調機や電気設備から発生する機械音を、
極力抑えるように努めました。
この段階を、「マイナスの音デザイン」と位置づけています。

(2)「ひびきの制御」にこだわりました。

館内のひびきは、建築材料の音響特性に大きく影響されます。
場に相応しい音がひびくと、場のにぎわいを感じさせます。
逆にひびきが抑えられると、静寂感が現れます。
そこで、フロアのゾーニングに応じて、
音のひびきに変化をもたせました。
エントランスやギャラリーなどでは、
床下に木の素材を使用しました。
にぎわい(足音)が生み出され、
元龍池小学校の雰囲気が思い起こされるきっかけとなります。
渡り廊下付近では、床下に吸音性の高いカーペットを使用し、
過剰なひびきの発生を極力抑えました。
この段階を、「ハコの音デザイン」と位置づけています。

(3)「音による演出(環境音楽の導入)」にこだわりました。

当館は、マンガ(およびマンガ文化)の収集・保管・展示を目的としており、
利用者とマンガ文化が円滑に交流する環境づくりが重要です。
そこで、館内に調和した環境音楽を導入しました。
環境音楽とは、環境を引き立たせる隠し味のような役割を担い、
場の雰囲気をよりよくするための「背景になれる音楽」です。
環境音楽の制作には、音楽の存在感を出しすぎず、
元龍池小学校の佇まいを想起させる配慮をしました。
楽曲は、懐かしさを思い出すピアノの音色を使用し、
旋律感(メロディ)を抑え、ゆったりしたテンポで繰り返される特徴があります。
また、音数を極力少なくして、広がりのある余韻を感じさせるように努めました。
とくに、小学校の雰囲気が強く漂う階段・廊下付近では、
適度な音量となるように調整しました。
この段階を、「プラスの音デザイン」と位置づけています。

(4)「音のユニバーサルデザイン(UD)」に配慮しました。

エントランス付近には、視覚に障害のある方に配慮して、
音響信号(ピンポーン)を常時鳴らしています。
この音は、建物や通路の出入り口を特定するための誘導音で、
全国で共通使用されています。
この段階は(3)と同様に、「プラスの音デザイン」と位置づけています。

こうした音環境デザインの導入によって、
館内が落ちついた印象になりました。
ご来場いただいた皆さまに、音環境デザインが整えられた館内で、
マンガ文化に楽しく触れていただけることを、心より願っております。


■リニューアル後の「京都国際マンガミュージアム」音環境【mp3音源データつき】

京都国際マンガミュージアム概観

館内(3階・開架フロア)

館内(2階・渡り廊下)

館内(2階・階段踊場)

 全館を通じて、同一の音源が、
 約40基の天井・壁に埋め込まれたスピーカから流れています。
 館には様々な用途の空間があるため、
 それらを包み込むような環境音楽の制作は困難ですが、
 ピアノを基調にした音源の作成を行いました。
 隙間のあるような、単音系の環境音楽。
 元龍池小学校を改装・改築した館内は、
 どことなく、ノスタルジーな気配を奏でています。
 私がとくに意識した場所は、階段踊場付近で、
 白壁が独特の反響を誘発するため、
 心地よい余韻のもと、館内の空気が凛と輝きます。
 階段は木製なので、足音がほどよく環境音楽に溶け込んでいます。

【京都国際マンガミュージアム・南階段踊場(2007年6月5日15時台):mp3】


 
■音源情報(京都国際マンガミュージアムで使用されている環境音楽収録CD)
「キョウトアンビエンス」の紹介はコチラ


■京都国際マンガミュージアムのHPはコチラ