ぼくが受け持っている授業の中に、生涯学習で来ておられ
る年上の人がいるのだけれども、いつも鋭い質問をしてく
れる。本日は「加齢と共に衰える自分の感性や演奏技術に、どう
立ち向かえればよいのでしょうか?」と投げかけられた。
今、自分のの歳は46歳。10年単位で確実に心身は劣化
してくる。
そこでぼくは、「自分の衰えに対応した表現方法を、心身に無理のない範囲で開発・維持していくこと」と返答した。自然の摂理に抗っても、自分の地金である感覚を生かすことはできな、と思ったからだ。
その方は、「音からその人の生き様や思想性が滲み出るような表現になればよいですね」とおっしゃった。基本的にはそのとおりだと思う。
その「調整過程」の中で、間引かれるものは間引かれるし、残存するものはほどよく残っていくものだと感じている。要するに、若い時は若い時にしか出ないイキオイある表現力が、歳を取った時にはその時にしか出ない枯れた表現力があるのだろう。
その時々の「自分の感性」に出会えるように、音の表現を続けようと思った。自分でも全く知らない未来の音世界。受講生との何気ない授業後の語らいから、これからの音活動がますます楽しみになってきた!