簡単そうで難しい小松の楽曲 / '14.05.12

20140512自作曲の多くを譜面化しているワタクシですが、実際に演奏してくれている人にお目にかかることがあります。今日はそんな日。わざわざ東京から来てくれたその人の言葉が印象的でした。

ぼくの曲は譜面(ふづら)はすごくやさしそうに見えるけど、いざ演奏するとなるとかなり手こずる。その理由は、「打鍵するときのタッチのニュアンスを出すのが非常に難しい」そうです。背景的で静かな音楽であるため、ふつうのタッチで演奏すると、平板で面白味のない曲になってしまう。最小限のミニマルな音で、いかに「歌う」ことができるのか。そのジレンマがぼくの曲にはあるのだ、と。

実際に演奏している本人は、まったく自覚していないのですが、曲の出だしと終結を大切にしつつ、音色の表現を最大の個性として響きそのものに想いを馳せること。ピアノから出る「音色」や「響き」は、人の声色のようなものです。そのあたりを意識することが、極上のピアノ・アンビエントミュージックの表現につながるのではないかと、強く思います。

また、正直ぼくは、ピアノの音色から逸脱して楽曲をつくる選択をあまりとりたくありません。ピアノ一本で楽曲を創り続けているのも、ピアノという楽器が「音の立ち上がりと立ち下がりが非常に繊細で、その境界面に響きの旨みがあること」に長けているからではないかと、その人と話をしていて、強く感じ入りました。

こうして大切に曲を弾いている人がいると、曲をつくっていて本当によかったと思います。ニューアルバム「キョウトアンビエンス 2」の楽譜も、マイペースに採譜しようかなぁ。(このCD、即興的につくったので、今のところ一切譜面はなく、頭の中だけにあります…。)

*写真は「キョウトアンビエンス」の楽譜の出だし部分。小松のサイト経由で入手可能です。