長島瑠さんの個展「日々微々」 / '20.01.19

長島瑠さんの個展「日々微々」を見るために、上京区のソーシャルキッチンに行ってきました。長島さんとは昨年9月にエレナさん主宰の音散歩で出会い、どんな作品をつくられるのか、興味がありました。

暗い部屋に大型のパッチワークでつくられた布のスクリーンがあって、対面するソファに腰掛けて、スクリーン上の映像と音を鑑賞するというスタイルでした。

長島さんの日常生活で遭遇した何気ない風景を撮影した短い動画が30分間、パッチワークのように投影されていました。撮影期間は1年間。1シーンが数十秒で、いつか見たような風景がランダムに迫ってくるので、まるで夢を見ている感覚になりました。

同時に聞こえてくる日常音に耳をすますと、なぜか動画とシンクロしていない。長島さんに尋ねると、「動画は時系列だけど、音は逆の時系列で組み合わせている」とのこと。だから、独特の浮遊感があったのか!と納得しました。夢を見ている感覚にさせるのは、この不一致か、と。

我々は1年間がスグに過ぎてしまったと感じがちになりますが、じつは膨大な感覚データが脳内にインプットされています。今回の映像を編集された長島さんも、そのデータ量に驚かれたとか。1年1年は儚く過ぎ去っていくけれど、一つひとつの場面はかけがえのないもので、その時々をしっかりと歩んでいる。その証拠がデータ量の大きさではないか、と。

時が過ぎゆくことが早すぎると焦ってしまうことが多いですが、長島さんの作品を30分かけて見たあとは、不思議と自己肯定感とポジティブ感が増すような安心感に包まれました。

という本日も、いろんな場面が集積した時間なのですね。