【音育メニューの実践結果2】
今回は、前意識で感じる音(背景音)に焦点が向けられる効果が出るメニューです。音を出さずに動作をするとどうなるか? 結果は予想以上に音によって動作が制約されていることが分かりました。
【音育メニュー】
「できるだけ音を出さずに所作をしてみよう。ドアを開閉するとき、歩くとき、イスを出し入れするとき…。自分の姿勢や動作がどう変わっただろうか?」
【結果】
・音を出さないように動くと、体の動きがゆっくりになって、周りを良く見るようになりました。普段と違うところや、人の声、遠くからきこえてくる色々な音にも耳が反応しました。また逆に、音を出さないようにしているのに、手が震えたりいつもより余計に筋肉を使ってすぐに疲れてしまったりして、音が大きく出てしまうこともありました。
・普段自分がどれだけ音を出して生活しているのか改めて知った。音を出さないように意識すればするほど他の音が気になる。1点に集中するだけでは音が出ない環境はつくれない。
・音を出さずにすることを意識すると変な動きになることが発覚。
・今書いている文字も、消しゴムで消す動作も音を出さずにはできませんでした。何か音を出さずにできる動作はないか知りたいです。
・音を出さないように意識しても、どうにもならないことがある。音を出さないようにしっかりモノを持っていた手を離すとき、手の汗でくっついて無理にはがそうとするとペリという。手汗が意識でコントロールできない。
・動作が全体的にゆっくりになった。
・音を出さずに所作をしようと思うとすべての動きが普段と比べてゆっくりになります。
・身体の動きをゆっくりすることで、そして耳を意識することで、今まで自分が聞いてきた音のほとんどが人から発せられているのではないか、と感じました。時々意識して音を出さずに生活するというのも面白いかもしれないと感じた。
【講評】
ふだんは自動的に処理されている無意識の身体動作が、音を意識することによって意識的になり、ぎこちなくなる。とともに、背景にある音にも耳のチャンネルが向けられ、前意識で聞かれていた音が意識領域にピックアップされる。耳の感度を高めるにはかなり有効な音育メニューである。